新スプリアス認定をとる

新スプリアス認定をとる

数年前から新スプリアス規制が始まりまだまだ使える無線機がゴミとなっています。フィルターを自作して規制以内になれば認可出来るかな?

スプリアス規制対策のバンドパスフィルター製作とJARD申請

  • 無線局更新時期が迫りましたので早めに更新手続きを行いました。その際ローカルのOMさんから頂いたC5800という144MHzのSSB機があったので自作のフィルターを追加、特性を測定して認可を頂くことが出来ました。

そのいきさつを紹介いたします。(古いマシンも使ってあげなければ)

  • 新スプリアス規制への挑戦
  • ○ スプリアス領域での抑圧レベルが-60dBm以上
  • ○ 占有周波数帯域幅での抑圧レベル-60dBm以上をクリアさせる
  • 1)バンドパスフィルターの作成 
  • 2)改善のデーターの実証 
  • 3)JARDへ申請という流れで作業を実施
  • 作成に当たって使用した測定器とバンドパスフィルターの部品リスト
  • ・スペアナ:(Rigol リーダー社の中国法人会社)DAS815(ジネレーター付き)・40dB ATT付ダミーロード(クラニシ)
  • 計測器は校正を実施しているかとの問い合わせがありましたが、最近は校正なしでもOKとか?トレーサビリティが取れていれば大きな問題はなさそうです。難しい場合は公的試験機関でスペアナを借用する方法もあります。
  • ・シリンダートリマー(10pF)   ・コイル(1mm 9φ 9t)・コンデンサー(1.5pF)  ・銅シールド板(3枚)
  • ・ケース(Takachi TD9-11-3N)
  • 1)バンドパスフィルターの作成

  • 4段のLCフィルターとしてシリンダートリマーで微調整可能とする、接栓はM型コネクターネジType
  • 外観

  • 市販のダイキャストケース流用

回路図

組み立て状態

銅板を形に添って加工 半田付けで成形 (入出力のタップ位置はCut&Try)計測しながら製作

コネクターの取付けネジ部とトリマーコンデンサーは銅坂と接触半田付け。

C1 カップリングコンデンサーはシールド板を切り欠き接続し入出力をシールドする。

 

計測に使うスペクトラムアナライザー

ダミーロード

フィルターの特性

-35dBm程度抑圧している

旧規格-40dBmの製品であればマージンが10dBm以上あるのでこのフィルターを追加することにより新スプリアスはクリアできると判断、C5800の実機測定を行う。

 

2)C5800 改善データーの実証

○ スプリアス領域の不要輻射の対策

基本波レベルを40dBのアッテネーター挿入で確認 10W=0dBm

未対策(C5800にフィルター未挿入)

145MHz~1.5GHz

290MHz(2倍高調波) -57dBmで規格外

 

9kHz~145MHzまで

134.25MHzミキサ漏れ大 規格外

オリジナル状態では-60dBmに対して3~5.5dBm程度規格はずれとなっている。

 

対策品(C5800にフィルター挿入)

145MHz~1.5GHz

290MHzのスプリアスが72dBmまで改善されている

 

134.25MHzがほとんど確認できない

-35dBmのフィルターを追加することによりスプリアス領域の抑圧に成功した

 

○ 占有周波数帯域幅での不要輻射の測定

変調が狭帯域の為フィルターの有無によっる変化は少ないとして改善後の測定のみとした

レベルはスプリアス領域と同じレベル

基本波レベル

25kHzの占有周波数帯域幅の以上の周波数で60dBmを超えない(スパン25kHz)

 

25kHz~±50kHzの中では60dBmを割り込むものはない。(マーカーは25kHz)

 

分解能が悪いスペアナなのでスカートが広がっています。規格値60dBmを割り込んでいないのでOKとなりました。

 

JARDへの申請

無線設備規則の一部を改正する省令

上記の生Dataと総務省提出申請書に追記して提示

無線局の

種別

免許番号 識別信号 装置番号 製造者名 型式又は

名称

検定番号 技術基準適合証明番号 製造番号 製造年月
3 第3装置 マランツ C5800 S27 3XF140050 1991.2

 

周波数等
周波数 電力 電波の型式 占有周波数帯幅 ±2.5BN
145.0MHz 10W F3E 10kHz BN<25kHz=±62.5kHz
145.0MHz 10W J3E 3kHz

一つの無線局で複数の装置や周波数がある場合は、複数行に分けて記載。

 

(2)使用測定器及び測定者(イの場合にあっては記載不要。)

測定器名 製造者名 型式 製造番号 校正年月 校正機関名 備考 測定者 連絡先 備考
スペクトラム

アナライザ

Rigol DSA815 DSA8A153902282 30.03 JNLA

090268JP

 

(3)フィルター無しの 測定結果(イの場合にあっては記載不要。)

帯域外領域におけるスプリアス発射の強度 スプリアス領域における不要発射の強度 測定日 備考
測定周波数 基準値 測定値 低/高調波 測定周波数 基準値 測定値
1 帯域外領域

145.0125MHz

|

145.0625MHz

40dBm 145.01375

MHz

 

-22.39dBm

Min~ 9kHz 40dBm -33.25dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/9Dev 16.11MHz 40dBm -36.03dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/8Dev 18.125MHz 40dBm -34.63dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/7Dev 20.71MHz 40dBm -34.22dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/6Dev 24.16MHz 40dBm -34.59dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/5Dev 29.00MHz 40dBm -33.56dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/4Dev 36.25MHz 40dBm -34.80dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/3Dev 48.33MHz 40dBm -35.21dBm 30.09.11 F3E/J3E
fo~1/2Dev 134.47MHz 40dBm -16.47dBm 30.09.11 F3E/J3E
帯域外領域

144.9875MHz

|

144.9375MHz

40dBm 144.9875

MHz

 

-22.2dBm

fo ~ 2nd 290MHz 40dBm -17.70dBm 30.09.11 F3E/J3E
~3rd 435MHz 40dBm -33.42dBm 30.09.11 F3E/J3E
~4th 580MHz 40dBm -26.80dBm 30.09.11 F3E/J3E
~5th 725MHz 40dBm -19.78dBm 30.09.11 F3E/J3E
~6th 870MHz 40dBm -32.58dBm 30.09.11 F3E/J3E
~7th 1015MHz 40dBm -25.74dBm 30.09.11 F3E/J3E
~8th 1160MHz 40dBm -28.71dBm 30.09.11 F3E/J3E
~9th 1305MHz 40dBm -25.40dBm 30.09.11 F3E/J3E
~Max 1500MHz 40dBm -27.08dBm 30.09.11 F3E/J3E

基準値10W =40dBm  -20dBm→-60dBm

フィルター付の 測定結果(イの場合にあっては記載不要。)
帯域外領域におけるスプリアス発射の強度 スプリアス領域における不要発射の強度 測定日 備考
測定周波数 基準値 測定値 低/高調波 測定周波数 基準値 測定値
1 帯域外領域

145.0125MHz

|

145.0625MHz

40dBm 145.01375

MHz

 

-22.36dBm

Min~ 9kHz 40dBm -35.21dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/9Dev 16.11MHz 40dBm -36.99dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/8Dev 18.125MHz 40dBm -37.01dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/7Dev 20.71MHz 40dBm -34.68dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/6Dev 24.16MHz 40dBm -31.47dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/5Dev 29.00MHz 40dBm -35.47dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/4Dev 36.25MHz 40dBm -34.84dBm 30.09.11 F3E/J3E
~1/3Dev 48.33MHz 40dBm -36.38dBm 30.09.11 F3E/J3E
fo~1/2Dev 72.5MHz 40dBm -36.73dBm 30.09.11 F3E/J3E
帯域外領域

144.9875MHz

|

144.9375MHz

40dBm 144.9875

MHz

 

-22.18dBm

fo ~ 2nd 290MHz 40dBm -32.46dBm 30.09.11 F3E/J3E
~3rd 435MHz 40dBm -32.28dBm 30.09.11 F3E/J3E
~4th 580MHz 40dBm -32.71dBm 30.09.11 F3E/J3E
~5th 725MHz 40dBm   -31.94dBm 30.09.11 F3E/J3E
~6th 870MHz 40dBm   -29.76dBm 30.09.11 F3E/J3E
~7th 1015MHz 40dBm -29.24dBm 30.09.11 F3E/J3E
~8th 1160MHz 40dBm -28.60dBm 30.09.11 F3E/J3E
~9th 1305MHz 40dBm -26.99dBm 30.09.11 F3E/J3E
~Max 1500MHz 40dBm -25.60dBm 30.09.11 F3E/J3E

基準値10W =40dBm  -20dBm→-60dBm  改善後すべて-20dBmをクリアしています

 

改善前のスプリアスは134.47MHz/290MHz/725MHzが規格はずれになっているがフィルター挿入後は70dBm~75dBmに改善しています。

まとめ

新スプリアス認定基準に入らないアンテーク無線機も工夫をすれば、新スプリアス認定をパスすることができます。測定規格が出力端子での評価でしたので自分でもできそうだなと思いトライしました。EIRP(等価等方輻射電力)測定の基準の場合は電波暗室や基準アンテナ・SG・メジャリングレシーバーなど、設備が膨大になるためアマチュアでは不可能です。
何事もあきらめずトライすることが大事ですね。