WH5000 データーロガーを使ってみよう

WH5000   データーロガーを使ってみよう

波形を観測するにはオシロスコープやスペクトラムアナライザー又はベクトルネットワークアナライザー等、色々ありますが今回は長時間にわたっての波形推移を見る為のロガー(記録計)を紹介します。

昔はペンデコーダーなどでロール紙にプロットしていましたが、最近はコンパクトなロガーも出回り PCに取り込んでお好みのチャートに表示することが出来るようになり、ペンデコの出番は全くなくなりました。

今回は 秋月電子さんから1chですが USB 接続でPCに取り込むテスターがありましたので、Power 素子の温度変化を記録したり、12VのLi-ion電池の充放電特性を記録など、いろいろ遊び方を紹介します。

一般的なロガー

近年ローコストで出回っているGRPHTEC製のロガー
20chで20万円です、Chあたり1万円。コンパクトでメモリーカードやUSBでデーターを取り出せます
ちょっと昔の測定器の老舗 YOKOGAWA製 ロガー
これはPCとLANケーブルで接続して使用。ちょっと面倒ですね

ロガーを使おう

アマチュアにも嬉しいロガー付きテスター WH5000 4桁表示 3980円

テスターの頭部にMinUSBのコネクターが付きます

まず、付属のCDでPCにWH5000をインストールしてください

わー懐かしい8cmCD まだこの世にあったんだ! ○○歴史技術遺産ですかね
CDに印刷されているのは、華の国のBigブランドマーク
中身はバグ付きの中文ですがアイコンは同じなので頑張ってTRY
WH5000のアイコンが出たらOKです

初期画面

WH5000をクリックしてWH5000がUSBでPCにつながっていれば にぎやかな画面が・・・隣国人の好みですね。
PCとつながればデジタルとアナログそれに下は経過LOGデーターが
上記の画面が出ないときはPCにアクセスしていませんComPortとテスターのUSB選択の確認をしてください

初期設定

初期画面右下のSelect a Port がPCのCOMポートに合ってれば、Connectをクリックで記録が開始。(PC-PCのアイコンがチカチカ動きSampling時間に合わせて左の表に測定値が出力)

PCとの接続がつながっていれば、一旦停止して記録する時間に合わせて、左上のSetUPをクリックしOptionsからGeneralの サンプリングインターバルを測定する時間に合わせて設定

Max Point/Page:2000ですのでSampling Interval 10秒ですと5.5時間ちょっとがMax。

Sampling Interval を10秒に設定
10秒は0.1667分です。MaxPoints/Pageが2000なので 2000×0.1667=333.4分⇒5.56時間になります。
Samplingが0.5分であれば 2000×0.5=1000分⇒16時間になります。余裕を持ってSamplingを設定してください

記録開始

テスターのセンターにあるRel/USBを長押しするとAUTO USB点灯するこれでPCとつながります
テスターの切り替えレンジに黄色の表記項目が ロガーの測定可能。
抵抗測定と周波数それにhFEはロガー測定できません

部品温度を測定してみよう

Power 部品の発熱は熱暴走により部品や回路の破損につながります。過去に何度も高周波のPowerモジュールやトランジスターを昇天させました( ;∀;)

今回はWH5000を使い充電器内部の制御Power FETの表面温度を測定します。センサー部の設置(付属の熱電対のセンサー部を瞬間接着で接着)
12V6Aのバッテリーパックに13.5V1.5Aの充電器を接続。充電器基板上のFET温度を測定する

ん?おかしい

温度センサーが温度検出しない?物は華の国の商品です。案の定 端子のビス止めが緩んで熱電対のリードが外れていました。😢
めげずに取り付け直して測定

充電用アダプターのMosFETに付属のセンサー(熱電対)を接着(中央の4端子のDip部品)

測定開始

初期設定を行った後Start(DisConnect⇒Connect)してPC上のデスプレーを確認しながら(この場合温度上昇と飽和状態)

Sampling Interval は後程Excelでチャートを作成するのに必要なのでPCに表示される経過時間と見合わせて確認してください。

終了は(Connect⇒Disconnect)をクリックしてPCアイコンのチカチカが停止したら GirdからSave AsでExcelなどに変換して自分のホルダーへ保存します。
後はExcelデーターからグラフ作成ツールでお好みのチャートを作成してください。

測定結果

温度上昇は50℃未満です時間とともに充電電流は低下しますので熱暴走は無いでしょう。

20分移行充電電流が0.5A以下になってきているため発熱量が少なくなり温度上昇が飽和状態になる
充電電流を倍に設定は可能ですが(制限抵抗を2.5Ω)この場合Empty充電が2Aを超えることがあり、充電器側のアダプターが過電流制限がかかり出力停止します。(低電流で充電が安全と考え5Ωの制限抵抗を電池側に取り付けてある)「アダプターの電圧13.5V-Empty電圧8.5V≒5V/5Ω=1A」

Excelの時間チャート変換

時間設定はH:M:Sになっています。Start時間を 0 Startにするとサンプリングを10秒設定の場合、Excel表の処理は Startを0 設定して次の時間セルに 1を加え6を割った計算値を、縦の時間表に順次加算すると、分表示の10秒当たりの時間軸が完成します。

電池の容量測定

今回は充放電の電池特性をロガーで測定します。記録は1Chしかありません、放電特性は電流をシリーズに入れた10mΩの端子電圧を測定して電流を測定します、時間換算で容量が○○mAhあるか?の記録になります。当然負荷は8Ω30Wの抵抗を使っての測定です。

充電チャート

充電は定電流・定電圧電源で指定電圧まで充電(安定化電源で充電)
1.66A 12.45Vで充電した充電特性(Grphtec GL-200で測定)
2時間30分で約3000mAhの容量が詰め込めました。(赤電圧 青電流)

定電圧・定電流電源で充電ですが、75%程度充電すると定電流の充電が定電圧充電(CV充電)に切り替わり充電電流が減少し続けます。

W5000での測定データー(抵抗負荷の放電特性)

1Chのロガーでも抵抗電流負荷のカーブが書けます (8Ω負荷での特定)

8Ω負荷で1.5A放電(0.5C) で8.5V迄の放電容量は3067mAhです。充電した電流がほぼ停止電圧で回収できました。開始から放電終了までのExcelデータの電流値(1.5A~1.1A)の平均値に経過時間を掛けた値が時間容量mAhです
抵抗負荷での放電容量 3067mAh

Excel計算で電圧と時間をチャート上に計算してグラフ化する

電流は10mΩの端子電圧から電流値を算出(赤線)電圧の低下に伴い電流が低下します(定抵抗負荷)
電圧チャートはロガーで測定した電流に抵抗値8Ωを乗じるとオームの法則で12Vになります(青線)

電子負荷を使った放電特性のチャート

定電流で強制的に電池から電子負荷に引き込んでいるために電流は一定です

負荷電流は0.6A(0.2C)程度ですので放電時間は倍近く伸びています。

4000円のロガー付きテスターでもちゃんと記録が出来ます。このテスターは温度以外にコンデンサーやトランジスターのhFEや半導体のVf(立ち上がり電圧)も診れ、基板の修理などの部品チェックに十分活用できます。高い測定器が無くても工夫次第でいろいろ使うことが出来ますのでどんどん活用してください