FT-817にも使える移動用電源製作
- 2022.04.16
- EHL工作室
ハンディトランシーバーを買ったが、電池の管理が大変アルカリ電池は無駄が多い、ニッケル水素電池は・・・・重くて大きい。
小型電池で比較的パワーがあるリチウムイオン(LI-ion)電池を使った簡単な充電Kitの製作記事を紹介いたします。
最大5Wのハンディトランシーバーを2時間動作させる
無線機の一般的な消費電力は無線出力の2倍必要とされます。 5W×2=10W Peekの電流は 10W÷12V=0.83A 約1A ということは 連続送信で2000mAhの電流容量が必要です。
アマゾンで Li-ionのポリマー電池(保護回路付き)3000mAh×4ケが4900円台で売ってました (*_*; 。12Vなので 1ケ余りますが、3直列にして使います。Webで探せばもっと安いものが見つかるでしょう、個人的には1000mAh@200円位がベストプライスと考えているんですが・・・アマゾンさんお願いします。
入手した電池は67mm×37mm×9mmでしたので3段重ねて使用します。
12Vに対して定格電圧は11.4Vになりま すが、20W固定機13.8Vでは無線出力は20W程度で11.4Vで使用すると16W程度まで下がります。5W運用であれば大きな変化はありません。ハンディトランシーバーの発熱を考えれば低電圧のほうが安全です。
電池にあったケースを探す
以前はTAKACHIのケースを使っていましたが、最近は100均Shopの小物ケースがたくさん出回り重宝しています
Can Typeの18650 12V6Ahの電池パックは電池にぴったりのケースがありました
又、道草を食っています5Wハンディの電源です
4ケ100円のケース小さくまとめました。
ケースは100均入手 70㎜×100㎜×32㎜の食品保存用のタッパーを流用して組み込みます。
回路図
いたって簡単回路です。5Ωの抵抗を通じてACアダプターからBatteryに接続。表示器をSW経由でBatteryに接続しで後はBatteryからDCプラグでトランシーバーへ
充電保護用のセメント抵抗は電池がEmpty(約8.5V)時に充電電流が 13.5V-8.5V=5Vの電位差の電池に急激に充電電流が流れ込むため5Ωで制限を掛けます。 5V÷5Ω=1Aの初期充電です、電流は充電が進むとともに減少する。
8.5Vは過放電停止電圧ですLi-ion電池がいきなり出力を停止するのは、過放電電圧を検出しているためです。出力が停止した場合は充電させると復帰します
放電停止期間が長く電圧が低下して電圧表示でない場合、アダプターの電流容量が少なく、そのまま充電すると充電アダプターがシャットダウンする場合があります。この場合12V3A以上の固定DC電源で10V以上になるまで充電し、その後充電アダプターで再充電してください。
一般的な充電回路は C.C 充電(定電流充電)になっています。初期充電は大電流が流れるので安定領域まで 0.1C(定格の1/10)で充電して C.C充電(定格の0.5C~0.7C)で定電流充電します。
本回路は電池にモニターを追加し制限抵抗を充電側に挿入してC.R充電としています。
LEDOnは電圧表示してノーマル充電 SwOffは保管状態とノーマル充電以降の急速充電(ノーマル充電の約2倍の電流で充電)
電圧表示のSWはスライドSWに変更
当初トグルSWでしたので、リックサックの中で勝手にSWが入ってしまって、リックを開けて赤いのが見えると「ドキ!!」とします。しかも電池は知らず知らずに減っていきますので。しばらく山に行かないと「アレ!電池が無い」(2線式の表示器ですので10mA程度流れます。1ケ月程度で電池がなくなります)
充電制御
バッテリー(Cell) は2.7V~4.4V=(電池パック)8.1V~13.2Vの動作となります。停止電圧は10Vと考えてください、10Vを過ぎると電圧を監視しながら送信すると電圧が一挙に下がり、電圧停止になり表示が消えます。電波が出ないのに、観客がいない独演会になります。相手局も心配します😟
いきなり Stop
セル当たりの電圧降下は3.2V程度までは安定して低下するが、3V迄下がると一挙にカーブがきつくなります。2.5V以下はほとんど容量はありません。(12Vで使用の場合は3Sです3倍の電圧で計算)
2200mAhの電池では2A放電で安定して使えるのは50分ですね。負荷の変動でSSB送信は時間が長持ちしますが変調により電流が変化するので電池の電圧をチェックしながら交信をする必要があります。一般的に過放電検出動作になると表示が消えてしまいますが、電池の自然復帰で表示する場合もあります。完全に放電すると充電を開始しないと表示しません。再充電すると表示復帰します。
使用状態で表示が出ない場合は、出力端子を短絡した可能性があります。再充電(1秒以内でOK)を実施すると復帰します。完全に放電停止状態での充電はACアダプターが過電流となり出力停止する場合があります。アダプターを休ませて再充電を繰り返してください。
充電の注意事項
前記の様に充電電圧は13.5Vですので10V以下に電池電圧が低下した状態で、直接電池に充電するとアダプターが停止します。(アダプターの過負荷停止)そのためアダプターの入力ジャックから電池には5Ω5Wのセメント抵抗がシリーズに接続されています。充電スタートは0.7A程度です。リーズに抵抗が入っていますので過充電停止13.2V迄充電電圧が上がると充電電流が停止。(電池パックに入っている保護回路が過充電電圧になると回路を遮断します)充電時間は10Vから満充電までは安全を考えて約15時間程度とします。
放電状態 9V(FT817使用電圧 9V~13.8V)充電電圧13.5V-9V=4.5V/保護抵抗5Ω=0.9Aが初期充電電流となる。充電が進むと電池の端子電圧が上昇して充電電流が低下します。電圧が11.5迄電圧が上昇したら抵抗を半分にしてもOKです。充電時間が長いと思われる方は前記の回路図を参照してください。ただし初期充電(Empty)から充電開始すると充電電流が2Aを超えるのでアダプターの出力が停止する可能性があります。
初期充電から電圧表示をモニターし11.5Vになったら表示を消灯して倍速充電とする。充電終了は通常モードとして電圧をチェックして終了。
充電終了は満充電13.2V±0.1Vに対し13.2V以上(充電器電圧)の表示があれば、満充電停止状態なので、充電器の出力電圧が表示されています。
過充電(最大充電電圧)は電池保護の為一定の充電電圧が高くなると電池につけられた保護回路が充電を停止します。電池のセルへ充電が行われなくなるため充電電圧がそのまま表示器に表示されるため表示電圧が13.2Vから13.7Vに、変化します
満充電状態
保護回路動作状態
実際の充電電圧
充電器の改造
各 通販会社からは12V1A程度ACアダプターが1000円未満で入手できます。
1Aの電源であれば1.5Aまでの定電圧・定電流の出力が得られます。安定した電源ですが、最大電流を超えるとシャットダウンで出力が停止します。また充電電圧も電池の最大電圧まで印加されないと100%迄充電できません。
手持ちの15V0.8Aの電源を13.7Vに改造
使われる電池の過電圧充電保護電圧に合わせて充電電圧を設定してください。今回使用の電池パックは4.4Vの過電圧充電保護ICが使われていましたので4.4×3=13.2Vでしたので13.4V~13.7Vに設定しました。
充電電圧が最大充電電圧より0.6V低いと充電容量が75%程度しか充電されません。又充電電圧が高いと流れ込む電流が増えて見かけ上の電池端子電圧が上昇して早めに充電終了、容量も100%充電されません。電池のトータルの保護電圧以上で+0.5V未満の充電電圧がベストです。
基準電圧設定の改造
基準電圧設定用の3端子ICの電圧設定抵抗を入れ替える
交換する抵抗はホトインタラプター(ホトカプラ)の近くで、4桁表示の抵抗です。抵抗値の選び方は下記のLinkにあります。
無線テクニカル工房(リチウムイオン電池で無線機を駆動)
電気テクニカル工房(電源)
TDKラムダなどから12VのAC/DC電源が販売されています。12V1A程度の電源で調整用半固定VR付きを使えば改造なしで13.2Vくらいまで電圧可変が可能なのでこれを使う手もあります。ケース加工や配線組み立てがあるので、手持ちのモノを流用してください。
又は無線機用の13.8Vの固定電源で充電するのもアリです。電池の極性を間違うと電源とバッテリーに逆電流が流れ5Ωの抵抗が発熱発火します。充電ケーブルには逆接続防止のダイオードを直列に付けてください。一般ダイオードではVfが0.6V程度ありますので充電停止の電圧まで上がらない可能性があります。ショットキーダイオードはVfは0.4Vなので充電電圧は13.4V以上取れそうなので、発熱を考えるとショットキーダイオードがベストです。ダイオードの定格は30V5A以上がお勧めです。
充電電圧は高ければ充電電流が増え、充電が進んでいるように見えますが電池端子電圧がその分高くなっており、見かけ上充電が終了した電圧と認識、満充電終了前に充電停止します。
指定の電圧で充電を行うと充電終了近くになると定電流又は抵抗制限電流のモードから定電圧充電モードになり充電電流は次第に低減する。充電電流は0.1C程度が充電終了でこの状態で充電容量が確保される。
4.2V2200mAhの電池セル充電特性(CC/CV放電特性)
充電電圧が高いと電圧カーブは上昇し続け過電圧充電電圧で充電停止してしまう。(過充電検出電圧と最大充電電圧は近いほど充電容量が確保できる)
市販のDCプラグをトランシーバーに接続しよう
八重洲無線のロングセラーFT-817やその他のハンディトランシーバーなどの外部電源のDCジャックは、内径1.6~1.7φ外径4φのジャックが取り付けられています。又ポケットTypeのハンディは、内径が1.3φ~1.4φ外径3.5φが取り付けられています。
今回は問い合わせが多いFT-817のDCジャックとの勘合の変換プラグを製作
FT817のプラグはEAJAの電圧区分2適合品のプラグで樹脂部が少し削り取られているものでしょう
Marushin electric mfa.co.,Ltd の MC-5322L と推測されます
単価比較では MC-5322Lコード付きが @464- 高い―!! Σ(・□・;) 汎用品のMP-202が @87- この単価の差は何だろう? MC-5322Lが一部メーカーの特注カスタム品の為でしょうか?
汎用品を使って2.1φジャック(今回の電池につけたアダプター)⇒1.7φプラグの中継コネクターの製作
まず1.7φプラグ(MP-202)と2.1φの標準パネル用ジャック(22196)を準備
⊕ 電極部のリーチが短いので先端部の樹脂をカット
この状態でトランシーバー本体と勘合確認してください。緩い様であればペンチで少しカシメて補正します(外側の電極パイプを外し樹脂パイプの上から内部電極の管を軽くカシメる)
カシメた後に外側の電極をかぶせる
ストッパーになる先端の樹脂をカットしたので外側の電極を半田付け
合体
仕上げ
巷にあふれるDCプラグ
ジャンク箱のプラグを物色すると1.6φ― 1.7φのプラグが何種類か出てきました。調べるとトランシーバーの本体にプラグ樹脂がぶつかり接触しません。プラグの長さが短いようです。⇒(短いプラグは長くする)
外部電極が長そうだったら樹脂部を少しずつ削る(右)。危なそうになったらMC-5522Lの様に削り込む(左)
これで移動運用も完ぺきです。ハンディトランシーバーを持って野山に行こう!!
運用
定格充電で11.4V3A=34.2Wを5W運用(10W)になると3.42時間×2の運用が可能です、山岳運用で十分な運用が可能ですね。10時間位充電を実施すると充電が終了しますので、そこそこ使えそうです。
リチウム電池は保護回路付きの電池の場合、短絡しても安心なのでどんどん利用しましょう。急速充電を実施する際は0V充電や初期充電は大電流で充電されますので、充電電流制御が必要です。専用の充電制御ICがあるのでそれを利用してください。
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