1200MHz 20EL (アンテナ製作 第6.改)
- 2020.12.15
- EHL工作室
1200MHz 20EL アンテナ製作再改良
1200MHzの無線機は持っているが、自宅に大きなアンテナを建てられない。せめて移動運用で1WのLowPowerで遠方との交信を楽しみたい山岳移動の無銭家の為に八木アンテナの製作記事を紹介いたします。
アンテナを準備して、小高い山からOnAirすれば近県の交信も可能です。
20ELでもアンテナが小さくてHighGainです。これなら山に同伴できます
無線機はあるが内蔵ホイップアンテナでは😢。という方のために、手軽にできる20ELのアンテナの製作記事を再改造致しましたので記載いたします。20EL迄はいらないという方は輻射器のユニットが出来れば3EL以上はSWRは変化が無いので移動しやすいアンテナを製作してください
本当に飛ぶの?
144MHzと430MHzの移動運用の際は1200MHzも一緒に持っては行くのですが、なかなか交信相手が見つかりません。つい先日は144MHzや430MHzでよくお相手して頂く栃木県の局長さんからは、「移動車内のハンディ機でRS 51で入感してたので呼んだのですが、「1.2GHzはホイップアンテナで1W以下はさすが無理でした」というリポートをいただきました。飛んでることは飛んでるんだ。やっぱり八木アンテナの威力ですが(後日 RS 57のリポートでコンタクト。しかも相手局のアンテナはバックでした)・・それ以上はなかなかコンタクトができません。
登山のスタイル
これを背中に?アマチュアのスタイルとしては許される範囲かな?
こんな感じなので山頂に到達するまでにアンテナのダメージは はかり知れません
移動運用のメンテナンス改造
今までのUバランは構造上不安定であり移動運用の設営での不安材料が残ってました。
移動運用にはアンテナのメンテナンスは必須と考えていましたが。心配が的中、移動運用の途中にアンテナの給電部のUバランを破損させてしまいました。移動運用のアンテナは簡素にするを念頭に今回の改造に至りました。
Uバランを廃止し輻射器をダイポールにして、アンテナメーカーさんが良くやる疑似導波器を輻射器に隣接してインピーダンスを整合させる方式です。ダイポールアンテナ状態ではインダクタ-領域にあるためアナライザーとMMANA(アンテナシュミレ―タ―)を使ってカット&トライで50Ωに整合しました。
アナライザーが無い方は疑似導波器の長さと貼り付け間隔、直近の導波器の取り付け距離をMMANA(アンテナシュミレ―タ―)で寸法を追い込みSWRを最適に追い込んでください。
まずはアンテナを作ろう
みんなが移動すれば交信の可能性は高くなる。移動のシーズンに備えてアンテナを作ろう!
今回の製作ポイント(三つの簡単)
- 輻射器を簡単に作る ハードルが高い銅パイプの折り返し加工をやめてダイポールとする
- 給電部を簡単に作る 疑似導波器で容量補正でマッチング
- 設営は簡単 1 移動に邪魔にならない2分割とブームにMコネクター♀を埋め込む、ワンタッチ設営.
- 設営は簡単 2 アンテナをポールに簡単セットはめ込み方式
部品の選定
原則ホームセンターの部品で作ります。
- ブームパイプ 電気工事用 隠蔽パイプ VE-14J2 (白)
- エレメント(導波器・輻射器・反射器)7φアルミパイプ 2.6mmねじ固定
- 疑似導波器 0.15mmt×5×80mmニッケル板
- 導波器ホルダー 固定用両サドル S14 (白)
- 輻射器ホルダー VPホルダー両固定用 VP13 φ18 1号 (グレー色)
- 反射器ホルダー VPホルダー両固定用 VP16 φ22 1号 (グレー色)
- Mコネクターメス 中継パイプVE-14J2(白)を切断しコネクターを取り付。VPホルダーへ挿入
- ブームホルダー T分岐パイプ VET-16J に中継パイプ VE-14J2(白)を切断して利用
加工
- アクリル板 60mm×14mm×t5mmを輻射器ホルダー補強と疑似導波器固定板とする
- 輻射器を2.6mmのビス4ケでVPホルダーVP-13取り付け。
- ラグ端子2ケ所半田付け後、輻射器に2.6mmのビスで取り付け
- 同軸線は55mmの長さで反射器側のMコネクターに半田付け(この長さは後の整合で使われます)
- 反射器のエレメントはMコネクター付き中継パイプVE-14J2(白)取り付けた (VP16φ22)にねじ止めです
- Mコネクターからの線を輻射器のエレメント側に開けた穴から引き出し輻射器のエレメントにつけたラグ端子に半田付け
- 輻射器ホルダー補強板の上に疑似導波器を輻射器から10mmの位置に張り付ける(完成時調整)
輻射器ホルダー補強板が無いと輻射器が安定して取り付けられません
寸法間隔はエレメントセンターからセンターまでの距離です
アンテナコネクタ接続
持ち運びには同軸ケーブルがついていると何かと邪魔になります。反射器側にMコネクターメスを埋め込み同軸を後ろ付けする様に改良
- 中継パイプを切断して中央のリブへ 3D2Vを半田付けしたMコネクターをねじ込みます。(加工イメージは スタックのQマッチのケーブル加工を参考に—同軸は1本ですよ。!(^^)! 430MHz HB9CV 7ELスタック (アンテナ製作 第7弾)
- ブームの同軸穴から引き出したケーブルを輻射器エレメントに半田付けする
Mコネクターメスに半田付けした同軸をブームに開けた穴から引き出し輻射器ラグ端子に半田付けする。輻射器のエレメント半田端子のギャップをできるだけ狭くしてください。
ポール取り付け部
エレメントとブーム取り付けは430MHzと同じ。ポール取付もワンタッチで差し込みType
T分岐パイプ VET-16J に中継パイプ VE-14J2(白)を使用。エレメント間隔が狭いので切断。
ポールに中継パイプVE-16J2(白)と中継パイプ VE-14J2(白)取り付けるとワンタッチでアンテナ設置できます
ブーム切断
半分にカットして持ち運びます
20ELは長いので途中切断して中継パイプ VE-14J2(白)で接続して使用する。これなら山に持っていくときも邪魔にならない 各エレメントはタッピングネジでブームに固定しないときれいなアンテナにならない。
完成
今はシングルですがいずれはスタックにしたいなー。もっと多くの局がQRVしてくれると良いんですが・・そのうち1200MHzも携帯電話会社のものに( ;∀;)
サンマのほねだー!
エレメント加工 Data
エレメント長と間隔
間隔はセンター寸法
- Ref (反射器 7 φ ) 130.0㎜ -36.0㎜
- Rd (輻射器 7 φ ) 116.0㎜ 0.0㎜
- RDm(疑似導波器 0.15t5) 80.0㎜ 10.0㎜(調整あり)
- D1(導波器 7 φ) 96.0㎜ 20.0㎜ (調整あり)
- D2 (導波器 7 φ) 94.0㎜ 35.0㎜
- D3 (導波器 7 φ) 92.5㎜ 49.5㎜
- D4 (導波器 7 φ) 91.0㎜ 60.0㎜
- D5 (導波器 7 φ) 90.5㎜ 65.0㎜
- D6 (導波器 7 φ) 90.0㎜ 67.5㎜
- D7 (導波器 7 φ) 88.0㎜ 74.0㎜
- D8 (導波器 7 φ) 87.0㎜ 78.0㎜
- D9 (導波器 7 φ) 86.5㎜ 79.0㎜
- D10 (導波器 7 φ) 86.0㎜ 81.5㎜
- D11 (導波器 7 φ) 85.5㎜ 84.0㎜
- D12 (導波器 7 φ) 85.0㎜ 87.0㎜
- D13 (導波器 7 φ) 83.0㎜ 87.0㎜
- D14 (導波器 7 φ) 82.5㎜ 105.0㎜
- D15 (導波器 7 φ) 82.0㎜ 105.0㎜
- D16 (導波器 7 φ) 82.0㎜ 105.0㎜
- D17 (導波器 7 φ) 82.0㎜ 105.0㎜
- D18 (導波器 7 φ) 82.0㎜ 105.0㎜
間隔の数字は各エレメントの中央までの寸法mm、長さ数字はエレメントの長さ。
D15以降は同じエレメントの長さ、間隔はD14以降共通の間隔でエレメントを取り付ける。
調整
SWRはどんな感じかな?
1W移動なのでこんなもんで妥協? 凝り性なのが悪い癖 もっと下げて‼ バナナのたたき売り状態
疑似導波器の調整
切り貼りカット&エラーで追い込み NanoVNAで確認
SWRは1:1.06です。帯域も申し分ありません。帯域幅広く、1.295GHzのスミスチャートはブタのしっぽです。
NanoVNAで測定しなくてもニッケル版を適当に切り貼りすればSWRは下がります
アンテナシュミレ―タ―での分析
MMANAでの分析ではGain 16dB FB比20dBとそこそこアンテナの特性が出てます
NanoVNAのスミスチャートをMrSumithで検証してみましょう
ダイポールアンテナの空中線インピーダンス
ダイポールのインピーダンスはλ/d 1.295GHzの波長231.6mm÷7φ≒33
λ/d=33のチャートから≒56Ω+j00が読み取れます(赤い線を右にして読み替え)58.0から56程度まで下がりますね。このままでもSWRは1:1.2以下ですね。残念八木アンテナは甘くないです
Mr.Sumith で検証
実際のダイポールアンテナに導波器と反射器が隣接するとエレメント補正で短縮してもスミスチャートでは導波器と反射器が並列コンデンサーとなり全体的にリアクタンス(容量)域にアドミタンスチャートに沿ってずれてしまいます。(隣接エレメントの並列容量とが周波数に依存して大きく変化します)
しかしMコネクターと輻射器間の3D2Vが直列インダクターとなりインピーダンスチャートに沿ってインダクタンス領域に入り込みます。
ここで疑似導波器が並列容量となりインダクタンス領域から引き下げ適正化されます。
0ポイント 1/2波長ダイポールから読みだしたインピーダンス 66.0Ω-0Ω
1ポイント 導波器と反射器が隣接した場合のずれは 47Ω-j21Ω
2ポイント 5.4cmの中継3D2Vの同軸によるインピーダンスの回転 42Ω+j18Ω
(誘電率εは2.26 5.4cmはλ/0.235)
2ポイント 疑似導波器による並列容量 50.5Ω+0Ω
SWR計、NanoVNA、アンテナシュミレ―タ―(MMANA)、スミスチャート分析(Mr Sumith)を駆使した1.2GHzのアンテナをブラシアップです。
アンテナ接続のコネクターをブームの後部に3D2Vで引き出した為 スミスチャートのインピーダンスは誘導側(インダクタンス)に引きつられて移動したので疑似導波器(並列コンデンサー)を追加することでSWRを下げることが出来ました。
整合方法はアマチュア的でずさんですね。SWRは低ければ低いほど良い結果が良ければそれでよし。
使った感じ
移動地 福島県田村市 片曾根山山頂 1W送信 受信地 郡山市内 / 二本松市内
共にフロント S9+++フルスケール サイド S3 八木アンテナになっているようですね。何分にも1.2GHzの運用局長さんが少なく、実力のほどが不明です。見通し距離であれば何とか1Wでもアンテナの力を借りて頑張れそうです。
実績は?
郡山周辺の小高い山から福島市59+郡山市59+那須塩原市57 なんとなく電波は飛んでいる感じです。時によっては30分CQを出してもボーズの時もあります。出ている局長さんが少ない!!
後日 甲子高原(那須甲子道路)西白河郡西郷村旧スキー場跡地周辺(ここは数十m先は栃木県です)ここから首都圏向けにビームを向けると千葉県や茨城県南部に59+ 首都圏までコンタクトが出来ました。多分に相手局のアンテナに助けられているのは理解できますが・・・・でもうれしいです(*^^)v。
20ELです都市部に向けてロングコールをすれば誰かが、お情けで応答してくれます。でもビームの先が過疎地でであれば、応答はありません。
この周波数帯は2.4GHzなどの周波数よりも通達距離が長い為。実際にはFPUと呼ばれる中継放送(マラソン大会のハイビジョンTV中継)特小ラジオ(特ラ)と呼ばれるバンドとして、ワイヤレスマイクやラジオコントロール、テレメーターなどに浸食されています。原住民族のインデアン居住地になりつつある状態です。みんなで1.2GHzのアマチュアバンドを守りましょう。
メーカーも無線機を売ることだけを考えず、アマチュア無線家の周波数帯有効活用を促進する計画を期待します。
自分にできることは、もっと高い山の山頂から1.2GHzでの運用を頑張ります。
SWRが安定して下がってます。トランシーバーを壊すことは無いでしょう、安心して移動運用ができます
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