NanoVNAで電波を見よう
- 2021.01.13
- NanVNAであそぼう
NanoVNAはアンテナ製作のツールとお思いの皆さま。(私もそうでした)しかしブツはネットワークアナライザーです。フィルター測定やスペアナ替わりに使えます。あの重たいSGやスペアナから解放されます。
だだし精度はそこそこなので、目安として使うのであれば簡便なテスタ代わりとして使ってください、発振回路のチェックなどは有効です。
NanoVNAで水晶発振回路のチェック
赤外線リモコンの電池切れをチェックするのに、デジカメなどを使ってリモコンの光を可視化することにより「電池はまだある」などと納得したことを思い出しました。
しかしキーレスリモコン等は無線電波が主体なので、電池の残量の確認はケースを外しテスターで電圧を計るという面倒なことになります。
ではキーレスリモコンの電波はNanoVNAで検出できるか!! 残念!ながら微弱な電波は、電波法で1秒以上連続電波は出せないので、ピークホールドの機能がないとなかなか見つけ出せません、しかしNanoVNAでも気長にチャレンジば見つかります。受信機の局発やXtal発振回路などの発振周波数を確認をするのは簡単に見つけ出すことが出来ます。
又 フィルタの特性はネットアナライザーの得意とするところでCh0とCh1にケーブルをつないでLOGMAG設定してやればきれいなカーブかかけます.
感の良い人はフィルタと言う言葉でピンときますね。そうですSG?にもなるのです、受信機チェックなどで簡単な発振器(SGまでは無理ですが)として活躍します。
本来のベクトルネットワークアナライザーの神髄であるスミスチャートがトレースでき高周波の回路設計ができる優れものです。高周波の学習ツールとしても十分価値があります。1万円以下! 今世紀最大のコスパNo1です。
NanoVNAで高周波の回路設計(スミスチャートを使おう)
VNAなんちゃってスペアナ
SGから-60dBmの信号を入力するとCh1に波形が見られます。スペアナと違って分解能が悪いのできれいなトレースは無理です。また、Ch0の出力は高調波のスプリアスを信号源としても使っていますので、SG(標準信号発生器)としては無理があります。スペアナとして使うにはSweep時間や分解能が、のんびり屋さんとサボり屋さんなので、送信機のスプリアス等は取りこぼしが多すぎ見ることはできないと思います、推定される周波数をセンターにスパンを設定して探し出す事は可能です。スパン周波数は1MHz以下ではきれいに見れません。フィルターの特性などはスペアナでもトラッキングジェネレーター(TG)の付いた 機器でないとトレースできません。NanoVNAは発振器があるのでフィルター特性をトレースできるのです。
出来るな!NanoVNA
NanoVNAをスぺアナとして活用
間違っても無線機に直接つないでNanoVNAを壊さないように。お遊びは自己責任で
受信機の局発をチェックするには簡単でピックアップを作って発振回路の周辺をCh1で捜します。
虫眼鏡のようなループアンテナであれば無線機に直接接続して使わないので大丈夫でしょう。結合のインピーダンス整合も必要ないので、基板の発振回路にループアンテナを接近させるだけ。回路に接続させて発振が止まることはありません。
FM受信機の局部発信周波数の確認
スペアナよりスィープがゆっくりなので検討つけてからの測定が必須です。Spanを広げすぎると取りこぼします、狭いとPeekが2ケ出てしまいます。(Spanは1MHz程度が見やすい)
Span1MHzの受信Unitの局部発振出力波形
スパンが狭いとこんな波形が
周波数の確認は1MHz程度のスパンがベストです。
リモコンの波形を見てみよう
早速製作したループアンテナで電波を見てみましょう。一般的にキーレスリモコンは300MHz~400MHz付近です。NanoVNAにはピークホールドの機能がなかったと思いますので、気長にリモコンを押し続けるとそのうちにFSK信号(2本の角がある波形)がNanoVNAの画面に見えます。ASKの場合は角が1本です。
さて見えるかな?・・・・ちゃんと波形が見れる!!\(^_^)/
スペアナで測定すると波形はきれいに確認できます。
これだけ見れれば目安として使う分にはじゅうぶんです?何せアマチュアですから。
フィルタの測定も便利だよ
ネットアナライザーの神髄、ローパス/ハイパス/バンドパスもちゃんと計れます。Ch1のスケール単位はLOGMAG設定(Ch0とCh1の間にフィルタやバンドパスフィルターを挿入)
デユープレクサー(144MHz/430MHz)のローパス特性とハイパス特性 -40dB程度落とし込んでいます(手作りのフィルターなので波形が汚い?)
NanoVNAでは波形入力が1Chしかないので、Ch1をデユープレクサのLowの出力とHighの出力を繋ぎ替え、2回測定することになります。
フィルター特性は十分実用になる波形がトレースできます。SG付きのスペアナと特性は遜色ありません。
デユーププレクサ―の製作記事のLink デユープレクサーの製作
製作記事
バンドパスフィルターもちゃんと計れます!!
144MHzのバンドパスフィルターの特性
これらのフィルターの作り方は下記のサイトに記載(デユープレクサー製作と新スプリアス規制)参照
無線テクニカル工房(アンテナ製作430MHz17EL✕2 他)
SGにも!!
調子に乗ってCh0端子の出力を見る。(-10dBm程度の出力が出ている)これって電波法違反?
この高調波,これはひどい!!SGとして使うのは無理ですマーカー程度と考えてください
何か恐ろしいものを見たような気がします。見なかった事にしておきましょう
-10dbmは100μWですこれをANTにつないでSWRを計っていたのです。ローカル局に迷惑をかけていたんでしょうね。
どうしてもCh0の出力を使いたい方はアッテネーターを準備して使用しましょう
Ch0の出力は要注意です!!
まだまだ使える面白グッツ作ろう
高周波の電磁界ピックアップは放射電界を見る小さな虫眼鏡のようなピックアップと伝導電磁界を見るピックアップがあります。
簡単に説明するとアンテナや回路パターンから放出される不要輻射(放射Niose)と回路パターンやケーブルから誘導される伝導性の不要輻射(伝導Noise)です。
虫眼鏡は簡単にできますがケーブルからの測定確認は面倒です。
実際の測定は正確さを必要とするのでとっても面倒です
一般的に電波の測定はVCCIと言う規格で規制されます。これは機器や周辺機器から放出されるスプリアスを3m離れたアンテナで電界強度を測定します。アンテナを回転できないので対象機器をテーブルに乗せ回転させます。(アンテナは上下に移動します)機器Systemの全方向と垂直/水平の偏波をアンテナを切り替えNoiseの測定を行います。
無線サイトでの 測定風景(電波暗室)
電波暗室の外にある計測器類
測定器で高級車が沢山買えます。サイトのシールドルームは-70~80dB必要でしょう
こんなDataが取れます
ここまで測定できればアマチュアでなくてプロですね。
そのほかにACラインや通信ケーブルに漏れ出すNoiseは、疑似回路網(Lisnと呼ばれているネットワークフィルター)や誘導カプラーを経由して測定します。
放射Noiseはアンテナなどから放射するスプリアスをとらえるので、イメージはわかりますが伝導性の不要輻射はなじみが少ないと思います。簡単に説明するとスイッチング電源のノイズが電源側に流れ出して、それに接続された機器が誤動作したり、LANケーブルにつながるPCや周辺機器のNoiseが漏れ出して、お互いに誤動作を引き起こすという事故です。これを総称してEMIと言う妨害になります。
伝導性の不具合は無線家の方はSWRと言う単語が聞き馴染んでいると思います。このSWRが悪化するとアンテナから不要輻射のNoiseが発生します。また最近は無線機をPCで動かす方も多くなってます。これらの周辺機器/無線機本体/PC間の通信も整合が取れていないと異常動作を引き起こします。
これらの誘導性の電波を可視化するのが伝導性ピックアップです。
アマチュア無線家はアマチュアの範疇でNanoVNAを楽しく使って遊びましょう。
伝導性の電波(Noise)を測定する
SWレギュレータの安定化電源を使うと受信機にNoiseが発生する事故。これはANTから入り込むかACラインから入り込むかをピックアップで確認することが出来ます。
ACアダプターやSW電源は交流100Vを直接に直流140Vに変換します。それをパルスでMOSFETを小刻みにOn/Offして12Vの直流にします。その為切り替えたSWNoiseの高調波が、ラジオなどの通信機に妨害を与えます。これを読み取ろうとするのです。
作り方は http://nobuyuki-lab.com/2020/01/21/post-870/のコモンモード撃墜を参考に
手作りのピックアップ
接続回路のイメージ
Ch1の端子を活用しましょう
すでに周知と思いますが、Ch1は入力Portです。これを有効活用するためにスペアナもどきの機能をご紹介いたします。前記紹介の様にスペアナまでの能力はありません。SeepTimeや分解能は、極めて甘い設定です。
Ch1の設定
DISPLAYからTRACEでCH1を選定→〔CH1設定〕→FORMATからLOGMAG選定
周波数の設定
BACKからSTIMULUS選定→CENTERから観測する周波数を打ち込み→SPANで帯域幅選定(1MHz以上)
目盛りの設定
BACKからDISPLAY選定→SCALE選定してSCALE/DEVとREFRENCE POSITIONを設定して見やすい状態にする。
この状態で同軸ケーブルに発生する定在波を確認
同軸に無線機を接続して、LOW Powerの出力で終端LoadとOpenで前期の手作りピックアップで確認するとLoadはピックアップの出力の変化は少ないがOpenでは大きく定在波が立っているのが確認できる。
無線機の電源にスイッチングレギュレーターTypeの高出力電源が安価に販売されています。小型で使いやすいのですがNoiseがと心配される方はこのピックアップを使って、電源フィルタの改善をすることが出来ます。
SWレギュレーターのNoiseは数100kHzから数100Mhzに及ぶことがあります。AC入力のLとNのラインにクリップを挟み込み気長にNoiseを見つけ出し伝導性(雑音端子電圧)のNoiseの改善することも可能でしょう。
昔にテストラボで測定した雑音端子のNoise分布
スペアナと手作りピックアップで見たACラインの伝導ノイズ(雑音端子電圧)は簡易的にNoiseを確認できます。
疑似ネットワーク回路網(LISN)が無いと正確な値ではない。目安にはなります。
NanoVNAではちょっと厳しいかも。
回路設計でよく聞くCut&TRY。 結果オーライで今ひとつ腑に落ちない、でもNanVNAを使えば共振回路やフィルターの設計など納得できる測定器のツールとしても使えます。NanoVNAはRF回路のテスターです
関連サイト
Nano VNA は何が見える NanoVNA活用
NanoVNAにあるSmithチャートを使う
ネットワークアナライザーはこの面倒くさい高周波理論をSmithチャートで可視化する非常に便利なツールです。アンテナ設計や高周波回路設計になくてはならない計測器と言えます。
スミスチャートはNanoVNAで初めて見たユーザーは多いと思います。なんだこれ?で終わっていませんか?高周波の回路設計のツールです。ここでは紹介しきれないので下記に関連リンクを添付しました、興味のある方はご覧ください。
NanoVNAで高周波の回路設計
NanoVNAでCL測定
面白いツールですのでいろいろ工夫して使いこなしてください。
最近は3GHzまで測定できるBanoVNA-FV2などもあり高い周波数も簡単に扱えるようになりました。
NanoVNA-F V2 を使ってみて
また従来のNanoVNAの電池が400mAhと容量不足を感じます。FV2は5000mAhと大型であり。電池を入れ替えました。
Nano VNA 電池交換(電池寿命が短い!!)
いろいろチャレンジしてください
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