テスターを使った電子回路の不具合分析

テスターを使った電子回路の不具合分析

最近の電子回路のプリント基板は実装部品が小さくなり、不具合の分析が厳しくなっております。

テスターを利用して簡単に不具合個所を判断する方法を公開。

デジタルテスターの抵抗レンジには、ダイオードのマークがついています。このマークはダイオードのオープン/ショートを測定するレンジですが、このレンジを使ってICやFETの端子の不具合を分析します。

テスターの表示

中央上にダイオードマークが出ます。その右にVの表示はダイオードの順方向の立ち上がり電圧(Vf)です。
ダイオードは構成される材料でVf電圧が変わります。一般的なダイオードでシリコン系≒0.6Vで、ゲルマニウム系≒0.4V程度です。又トランジスターなどもNPN系(2SC***/2SD***)は0.6V。PNP系(2SA***/2SB***)は0.4Vとなっており、シンボルはNPNはエミッターの矢印は外向きPNPは内向きになってます。トランジスタの場合FET違い内部抵抗が低いので基板から外してCheckしないと基盤の回路の成分を読み込みます。
又 ダイオードは一般ダイオード≒0.6V ショットキーバリアダイオード≒0.3V程度です。ツェナーダイオードはVrの電圧です、テスターでは測れませんOL表示になります。テスターのリードを反転するとVfは0.6V程度です。
OLの表示はオーバーリミットの略称でオープンを意味します。
テスターのΩレンジにブザーとダイオードのマークがあります
セレクト(Select)押すとΩ・ブザー/ダイオード・Vに切り替わります。ほとんどのデジタルテスターはこのように切り替わります

テスター棒の改造

テスターコンタクトピンに木綿針を半田付け、細かな電極でも接触が可能です
テスターのコンタクト棒をヤスリでDカットして木綿針を細い単線で巻き込み半田付け固定
これだけ先が細ければ 多少狭いピッチでも接触が可能です。TH(スルーホール)の接触もSOP/QFP のIC PinもOKです。

FETやICの寄生ダイオード

寄生というと悪いイメージしかないですが、ICやFETの寄生ダイオードは大変有意義な寄生です。
寄生ダイオードはFETを作るときに出来るものでボティダイオードと呼ばれドレイン/ソース間に勝手にできるダイオードです。
これは静電気などをパスしてFETを保護する働きもしますが、万が一  過大なダメージが端子にあった場合は 、真っ先に破損するダイオードで、これを測定すればFETやICの不具合を検出することが可能になります。
ICやFETは静特性上(静止状態)のインピーダンスがトランジスターと違い入出力の抵抗が格段に高く、低消費電流や高速度動作が出来るデバイスになっています。しかし高い端子抵抗の為に静電気や過電圧による事故が多発します。
FETの場合ゲート/ソース間にはTVSダイオードと言われ双方向の定電圧以上になると短絡する保護ダイオードが内蔵されているものもあります。(双方向定電圧ダイオードは入力信号が±振られても入力波形が歪むことの無い為のダイオードです)

実際のFETの寄生ダイオードとTVSダイオード

Battery保護回路に使われるFET                 FET部品内部ブロック図

寄生ダイオードとTVSダイオード
SWとして使います

 

このFETは充電用と放電用のFETが突合せに使用されます。Gate―Source間はTVSダイオードです、定電圧ダイオードがカソード共通で接続ですのでテスターでは測定不可能です。
部品ブロック図には 1/8 Drain 2.3/6.7 Source 4/5 Gate が接続されており、これ等の各端子間のダイオード特性を測定します。

早速作成したテスター棒を使って測定しましょう

早速電池出力の出ないLi-ionのBatteryパックがありました。基板を取り外す前に電池(セル)を確認しましょう。3.7Vの電圧があるので、保護基板の不具合と思われます。
一般的なL-ion battery 保護回路の回路図
下部中央のU2A/Bはスイッチとして働きます。U2A放電制御SW U2B充電制御SW。
実際に出力停止したLi-ionバッテリーパックから 基板を取り外し、FETの端子をテスターで測定
FET B のSourceとDrainが ± 方向でダイオードの立ち上がり特性が確認できます。
FET BのDrain―Source間に異常があるようです。FET A B共に Gate―Source 間に立ち上がりが見えます。この電圧がVf順方向立ち上がり電圧とよばれます(0.607V/0.911V)、制御ICと接続しているので制御ICの出力Portの寄生ダイオードの可能性もあります。FETは入力抵抗が高いのでVfの値は不安定です。
テスターでのVf測定は一般的に2.5V以下、TVSダイオードはツェナーダイオードですので3V以上が一般的です。TVSダイオードはテスターでは測ることが出来ません。

制御ICを取り外してみましょう (制御ICの影響を確認する)

下の表は 制御ICを取り外すとSource―Gate間のダイオード特性は無くなります
FET A は異常が無いようですがFET BのSource―Drainは0.535Vで異常値を示しています。
Source(-)Drainが(+)が正常の時は数mΩのOn抵抗に対し0.535VのOn抵抗のためR2(2kΩ)の(短絡)過電流検出のポートを立ち上げてしまい、Do、Co 端子を引き下げてしまい出力停止になっていました。

保護ICの端子特性

ICの入出力はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)と呼ばれ2つの相補したFETで校正されており、FETと同じように寄生ダイオードがついていますので、ICダメージがあった場合このダイオードの特性を見るとICの不具合端子が判断できます。

保護ICの寄生ダイオード

FETのGate―Source間の立ち上がり電圧は保護ICの寄生ダイオード特性の様です。
ほとんどのICやFETの内部ブロック図は仕様書をWebで検索すると見ることが可能です。
この様にテスター1台でICを含む電子基板の回路を簡単に分析することが可能です。不具合の電気製品があればチャレンジしてください。

テスターで楽しめる回路分析でした