NanoVNA -FV2 1GHz 越えの電波を見る
- 2024.11.20
- NanoVNAで遊ぼう
FV2を入手して1GHzを超える電波の姿を確認したいと、あれこれTRYしました。
周波数が高くなると色々な変調方式や周波数の拡散などがあり、なかなか見つけ出すことが難しくなっています
一般的に使われる放送周波数や身近にあるデーター通信などを捕まえてみましょう。
電波を捕まえるアンテナ
1GHzを超える電波ですこのくらいで十分です。これを発信源に近づけます。
手始めに地デジの電波を見てみましょう
地デジのTV周波数は
470-710MHzの周波数範囲でご存知のように13~52チャンネルに分割されています。地デジ移行によりVHFの周波数からUHFの周波数帯になりました。
チャンネルの有効帯域幅は6MHzです。(これはアナログで使用していた帯域と同じです)6MHzの帯域を13のセグメントに分割して多重化拡散でCh一杯に使用しています。よく言われるワンセグTVとは13セグメントの1ケだけ使った簡易放送です。地デジの12セグメントはHDTVまたは8,4や4,4,4に分割する事も出来、同一Chで2つの放送や3つの放送を受信することが出来ます。通常の使用される放送は12セグメントに分割された周波数帯をランダムに拡散します又拡散した隣り合う搬送波の間を縫って(キャリアとキャリアの間)にさらにキャリアを忍び込ませるという離れ業をやって通信密度を上げていますOFDM 直交周波数分割多重 (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)と言われる通信方式です
実際には6MHzの帯域幅にOFDMキャリアは最大5617(1kHz間隔)~1405(4kHz間隔)の間を変調方式(位相変調)に見合った信号データーを逆フェーリー変換後 OFDM変換され送信所から送信されます。
変調方式
地デジTVの変調方式はQPSK(4値位相シフトキーイング)16QAM(16値位相振幅)64QAM・・・・256QAM・1024QAM・4096QAMと1搬送波で送れるデーターの量が大きくなっていきます。BS放送ではお天気が悪くなると画面にブロック現象が見られますが、地デジ放送は通信状態が悪くなると 順次変調方式を変化させ画質を落としてブロック現象が出ないように処理しています。一般放送は64QAMのスタンダード変調です
変調のイメージ
QPSKは45°ズレの シフトで90°分割の位相変調となります
今までの2値PSK(BPSK2)と比較して圧倒的なデーターの大きさです。いつも使っているWifiなども同じ通信方式です。
QAMは位相変調(PSK)と振幅変調(AM)の組み合わせです。外に広がるほど変調が深くなります。
手始めにちょっと低めですが500MHz帯のTVの電波ODFMの信号をNanoVNAで観察してみましょう。
TVのアンテナコネクタにNanoVNAを接続
TVのコネクターはFコネクターと呼ばれるコネクターがありますのでTVのアンテナから直接にSMA-Fの中継の線を接続して地デジの電波を見る
FコネクターのメスにSMAコネクターを接続してNanoVNAの PORT2(S21端子)に接続する。
1. Stimulus⇒Centerに設定して470MHz~710MHzの地域のTV周波数に合わす(TVの設定画面で各地域の送信周波数が表示されます)
2. 画面をタッチしてBack⇒Display⇒Traceチャートを設定、Backに戻す。(Channelのアイコンを耐位置してS11からS21へ切り替えFormatで Logmagに)
3. ノイズ波形が画面上部にある場合画面左右のスケールレンジを変更する
うまくいけば画面にTVの信号波形が確認できます
スペアナで波形確認
位相変調ですがAM変調との混合電波の為、頑張って探せば見つかります。放送局からは信号が常に出ていますので見つけやすいです。
BS放送はTC8PSK
位相変調の一種で(Trellis Coded 8-Phase Shift Keying)で放送されています。トレリスコードは誤り訂正符号変換したものを8PSKで変調されたもの。
12APSKは8K放送の変調となり倍の情報量になっています。
地デジより時代が古いので変調方式も簡素ですね。キャリアも拡散方式でなくシングルキャリアになっています。
Chあたりの占有周波数は34.5MHzでTC8PSKとQPSKの複合信号となっています。TV映像の他に制御信号等があるため34.5MHzの帯域でキャリア補正をしながら多重放送を行っています。
BSの周波数を見よう。
BS放送は11.7GHz~12.2GHzですお高いスペアナでないと見えないですよね。中華鍋(パラボラアンテナ)のLNB(Low Noise Block)で1.3GHzに変換されTVにつながります。1.3GHzであれば NanoVNAで見れるぞ‼ 位相変調のシングルキャリアなので見つかると思いますが。
BS放送のLNB(パラボラアンテナコンバーター)の電源供給に15Vの電圧が同軸ケーブルにあるので電源供給していないTVのアンテナのレベルを測定することになります。TVが1台しかないときはSMAコネクターの2分配器で、NanoVNA側を数pFのコンデンサ経由として直流分をカットして測定します。いよいよ1GHzを超える電波を見ます。
位相変調の為周波数は決定しています
シングルキャリアなのですぐにみつかるとおもっていました、以外と難敵
LOGMAGで測定
こうなれば敵は位相変調、NanoVNAのLOGOMAGをPHASEに切り替えるとNoiseのディップポイントに位相の振れが見れました
PHASE測定
何とかBS電波のQPSK変調がかかったIF(中間周波数)を見ることが出来ました
いよいよ2.4GHzのブルーツースやWifiの電波を見ます。
先ずはBT(ブルーツース)
これは初めに紹介したループアンテナで確認します
BTは2.4GHz~2.48GHzの間に79Chの搬送波にGFSK(ガウス型周波数偏移変調)です。PSK変調のBS放送よりは見やすいかな?問題はPeekホルダーのないNanoVNAで確認は、周波数ホッピング方式なので逃げ回る周波(FHSS)を捕まえることが出来るか?(変調は2値FSKです)
以前にVCCIサイト(電波暗室の中で測定したBTの電波)26GHzのスペクトラムアナライザーで測定
80Chに拡散されたFSKで変調された搬送キャリアがPeekホールドされた信号をスペアナできれいに確認できました
一番狭い2470MHzの波形を拡大すると1MHzの帯域に175kHzで変調されたと思われる波形が確認できます
それでは実際にNanoVNAで確認できたBTの波形(PCのUSBコネクターに刺したBTUnitをループアンテナで測定)を見てみましょう。(SW OnでBTが動作し始めてからの確認波形)
時間とともにLCDスクーリーンにピコピコとFSKの信号波形が見ることが出来ます。ピークホールド機能があればスペアナの様に見れます。 確認の際は他のBT器やWifi機器が近くにないことが必要です。電波暗室などで測定は無理なので郊外の家の無い場所がベストです。2.4GHzを覗くとあちこち電波がピコピコ見えます。
こうして常に周波数を変化させ逃げ回っています(他のBTと衝突しないで様に鬼ごっこ?) 2.4GHzの周波数帯域を渋滞しないで通信することが可能となっています。当然 衝突事故が起きないように交通整理の信号がBTDataに含まれています。混雑すると衝突防止の為に一気に通信速度が低下します。
Wifiの波形
Wifiは5GHzも使われていますがここでは2.4GHzの話のみの説明です
WifiはOFDM信号を拡散させるという離れ業をやっています。高密度信号を拡散させ時分割させるというBTと地デジの混合した通信方法です。
Wifiは802.11b と 802.11gが2.4GHzで使われます。802.11bが22MHz帯域幅で14Chで干渉しないCh数は4Ch。802.11gは20MHz帯域幅で13Chで干渉しないCh数は4Chです。でももっと一杯使えてますね。これはOFDMA方式と言って送る時間を多少遅延させても帯域幅いっぱいにDataを詰め込んで高密度で送る方法です。(OFDM方式は時分割しない、Chあたりの帯域が6MHzもあるので1キャリアに目いっぱい情報が入っても衝突は無いんです)
ちょうど荷物を運ぶトラックを時間をずらして混載として最大積載量で荷物を送るような感じです。多少の遅延は全く気が付かないレベルですが混信や妨害が発生すると、スマホに八つ当たりして「ヽ(‘Д´)ノ 遅い‼と」怒る人の多い事。スマホが悪いのでなく電波事象が悪いのです。
2.4GHzWifiの電波
Wifiルーターを動作させてWifi接続
LogmagからPhaseにNanoVNAを切り替え
NanoVNA FV2で確認できる電波は限度がありますが、テスター替わりに遊んでください。周波数が高い分高密度に周波数を分割できで1キャリアに目いっぱいデーターを詰め込んだり、沢山のユーザーが利用出来るのも周波数が高い故の可能な技です。
NanoVNA FV2で見れるのは周波数が3GHz迄対応です。実際はここになんか電波が出ているぞと言うイメージです。可能な範囲で電波を見つけてみました。暇なときにトライしてはいかがでしょうか?
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