無線テクニカル工房(NanoVNAで2m7EL×2のTune UP)

無線テクニカル工房(NanoVNAで2m7EL×2のTune UP)

以前から使用していた、移動用アンテナ7EL×2をNanoVNAを使ってブラシアップを計画。

ファームからの復帰

もともとがジャンクアンテナの寄せ集め、特に給電部が移動運用による分解、設営のストレスで弱体化してきた。その上 最近は、小型でそこそこの性能がある4ELのHB9CVに主役の座を奪われていました。ここで何とか巻き返しを!もう一度再設計し、活躍させようと考えています。

以前使っていたシュペルトップ給電の7EL×2

こんなにいっぱいANTを建てても2~3時間の運用ですからね!😭

見直しのポイント

以前使っていたシュペルトップ給電の7EL×2のエレメント寸法と間隔は変更せず、給電エレメントの改造を行う。

シュペルトップの給電部 (2重被覆部は1/4λ×0.57=29.35mm)
建材用の銅箔テープを同軸の上に巻き、コネクタ側で同軸の被覆の編線に半田付け

短縮率は同軸の内部絶縁体と同軸外被のPVC外被分を含めて0.57とした。(いろいろとWeb上に書き込みがあるので参考にしてください)

旧 7ELのアンテナ構成

  1. Ref    (反射器)  1110mm     Ref-Rad     間隔  380mm

  2. Rad   (輻射器)  982mm     Rad-Dire1     間隔  260mm

  3. Dire1 (導波器1)900mm   Dire1-Dire2  間隔   345mm

  4. Dire2 (導波器2)880mm   Dire2-Dire3  間隔   380mm

  5. Dire3 (導波器3)840mm   Dire3-Dire4  間隔   410mm

  6. Dire4 (導波器4)835mm   Dire4-Dire5  間隔   480mm

  7. Dire5 (導波器5)830mm  

 *輻射器は951mmに最終的に修正

MAANA(アンテナシュミレ―タ―)での計算

Gainはそこそこありますし、SWRは1:1.6?これで使ってました。Z=50.5+j23.8 (実際のSWRは1:1.8)

現状の7ELをNanoVNAで測定

旧スペックはSWR実測だけの調整「1:1.8 スタック時」で使ってました。インピーダンスはどの程度か気になるところです。(アンテナシュミレ―タ―ソフトでは 50.5+j23.8)

NanoVNAでSWRとインピーダンス測定 

2m高さでの実測値

SWR1:2.17 共振周波数が低めですね、輻射器が長いようです。56.3+j45.7nH(2πfL≒41.6)

この状態でもアンテナの実力は福島から岩手県久慈と秋田県角館が記録として残っています。

入力抵抗はほぼ50Ω近辺。リアクタンスは145MHzでは+jに偏っています、アンテナシュミレ―タと同様です。145MHz付近はインピーダンスチャート上にいるので、このまま直列のL成分を少なくすれば50Ω付近になります。

輻射器は1000mmより短くして共振周波数を高くしなければだめですね。共振周波数の再TRYしましょう。

改良を加えるポイント

1. 輻射器の長さ検討

給電インピーダンスと共振周波数の整合は、エレメントの太さd=10φ。145MHzは波長が2060mmです。λ/dが≒200なのでこの点のインピーダンスは、62Ω+j0になると思われます。

Rカーブとのクロス 62Ω  λ/d=200とのクロス点 j0付近

λ/d≒200として、このポイントが0.474λなので2069mm×0.474=981mm が共振点です。NanoVNAで測定すると反射器と導波器の影響で62Ω+j0にはならないと考えられる。またANTの高さが1λなので、計算通りにはいかないと思われます。

2.輻射器変更後のインピーダンス特性

「輻射器の長さ検討の表」と八木アンテナが同一になりませんが(八木アンテナは導波器と反射器の影響がある)、NanoVNA(56.3+j41.6)とアンテナシュミレ―タ―(50.5+j23.8)は似た様な傾向です。入力抵抗は「輻射器の長さ検討の表」とほぼ同一なので輻射器の長さを981mmとしNanoVNAでインピーダンスの再測定。

共振点が上がった為SWRも1:1.66に改善。Cをパラ追加で50Ω付近にすることも可能ですが、これ以上エレメントを短くするのは怖いです。

今回の7エレ八木のシュペルトップ整合以降のNanoVNAでの測定値は37.0Ω+19.7nH(nHは2πfLで計算)⇒37.0Ω+j17.9になり、友人に嫁いだ5エレ八木の補正前インピーダンス計算値は42.3Ω+j11.7でした(Uバラン以後の計算値)同じような位置にいます。

Uバラン5EL八木

5エレ Uバラン以降のインピーダンス 47.288+j11.724

 (Uバラン5エレ八木は47.288+j11.724よって5pFパラで整合させています)

M接栓に5pFパラでリアクタンス補正

3. 7ELスタック化

今回はスタックにするので、SWRは1:1.66ですがエレメント同士の影響が出るので。とりあえず2枚の7EL八木アンテナをスタックにし測定する。

互いのアンテナ間隔は1/2λ(1m)スタックケーブルは3/4λとします。(奇数/4λの長さの75Ωのケーブルをアンテナに接続)75Ωのケーブルパラに接続して、50Ωの任意のケーブルで無線機に接続します。75Ωのケーブルは0.67の短縮率をかけてください(3/4λ×0.67)1040mmになります。スミスチャートのずれ分は補正がかからないので、Smithチャートのプロットは540°回転した場所になります。

Qマッチ

スタックのアンテナを50Ω給電する整合方法です

アンテナ給電点が50オームの場合、75Ωの同軸を接続した長さが1/4λの場合1/2回転しますが、この時のインピーダンスはチャート上114+j0です。これをパラって57Ω ?  (概ね50Ωでまとめるおおらかさ=アマチュア的でうれしい)

中央が50Ωで、75Ωの同軸を接続。0.25λ(1/4λ)/0.75λ(3/4λ)に接続すると1/2又は3/4回転して114Ωとなります。(1/2λで1回転)

75Ωの同軸線の長さは300/145=2.69m(1λ)×0.75(3/4λ)1.552mに同軸の固有の短縮率0.67を掛けると1.04mになる。これがQマッチの長さになります。

実際スタックにしたものをNanoVNAで測定してみましょう。

あれー! SWRが1:1.14になっちゃった。正式に計算しないとリアクタンス成分がどのように推移しているか検証が必要です(チャートは理論通り1回転半になっています)

3/4λで接続した今回のアンテナは、計算値は115-j64付近でプロットされます。リアクタンスは容量成分になっていますが、入力抵抗は115Ωですのでスタックにすると57.5Ωです。SWRは下がりましたが、共振点は偏っています。

37.0Ω+j17.9が1回転半で115-j64の位置にプロット。SWRは1.14結果オーライでお茶を濁しました。

 

TVアンテナの廃材が入手できるまでこれで運用してみましょう。シングルとスタックでは条件が変わってくるので、NanoVNAを駆使してアンテナの疑問を解消していきます。(ん?少し残っているけど)

アンテナの調整はスタックにした状態でシングル八木の測定追い込みが必要なことがわかりました。

おまけ! NanoVNAの大きさが小さい、画面が小さい。ユーザーコメントが寄せられていますが、屋外でアンテナを調整する分にはコンパクトで扱いやすい大きさと思いますが?…私だけ?

お日様が照っていると液晶は完全に負けています。健康を考えて曇りの日に使用しましょう。

コスパを考えればこれで良し。VNAをどう使うかが勝負です。

 

Uバランでのインピーダンスで補正

Uバランとシュペルトップは平衡空中線に不平衡給電線を接続するテクニックです。73Ω系のダイポールを50Ωの給電線にどの様に接続するかがミソです。

「輻射器の長さ検討の表」より輻射器の寸法を981mmにしたので、SWRのデップポイントは145MHz付近になりました。62Ω+j0 としてMr.Smith.のソフトを使って、Uバランの長さ調整で50+j0へ追い込みます。
Uバランを0.366λ(75.7cm)としてアドミタンスチャートにクロス、5pFパラで整合5エレ八木と同じ定数で整合するか?
Mr.Smithで計算したUバランの長さで、平衡/不平衡整合と共振周波数のインピーダンス整合を行います。(写真は5EL制作時の加工)
VHF TVアンテナの給電部にM接栓を取り付け
TVアンテナのエレメント穴を利用してUバランの同軸を引き回す

Uバランが邪魔くさいですね。

430MHzの10ELスタックをHB9CVに作り変えたため輻射器Boxが余ったので144MHzシュペルトップを廃止して、コンパクトなマッチングにします。

やっぱりUバランを使った八木アンテナになりました。シュペルトップのしっぽが消えてスマートです。

144MHz用7EL×2 アンテナ製作(アンテナ製作 第9弾)

スタック間隔も1λ。車での移動に強力なアンテナです。